文字画像:
達成基準 1.4.5 を理解する
1.4.5 文字画像: 使用している技術で意図した視覚的提示が可能である場合、文字画像ではなくテキストが情報伝達に用いられている。ただし、次に挙げる場合を除く: (レベル AA)
カスタマイズ可能: 文字画像は、利用者の要求に応じた視覚的なカスタマイズができる。
必要不可欠: テキストの特定の提示が、伝えようとする情報にとって必要不可欠である。
注記: ロゴタイプ (ロゴ又はブランド名の一部である文字) は必要不可欠なものであると考えられる。
この達成基準の意図
この達成基準の意図は、テキストによる特定の視覚的な提示を必要とする人が、必要に応じてテキストによる提示を調整できるように、所望のデフォルトの視覚的提示を達成できる技術をコンテンツ制作者に推奨することである。これは、テキストに、特定のフォントサイズ、前景色及び背景色、書体、行間、又は配置を必要とする人を含む。
コンテンツ制作者が同じ視覚的な効果を達成するためにテキストを使用できる場合、コンテンツ制作者は情報を提示するのに画像を用いるのではなく、テキストを用いることが望ましい。何らかの理由により、コンテンツ制作者が同じ効果を得るためにテキストの書式を整えることができない場合、その効果が一般に入手可能なユーザエージェントでは確実に提示できない、又はこの達成基準を満たすウェブコンテンツ技術を用いることが達成基準 1.4.4 などの他の達成基準を満たすことの妨げになる場合、文字画像を使用できる。これは、書体のサンプル、ロゴタイプ、ブランドなどのような、伝えている情報にとってテキストの特定の提示が必要不可欠な場合を含む。文字画像はまた、広く普及していないかコンテンツ制作者が再配布する権利を持っていないかのいずれかで特定の書体を用いるために、又はそのテキストがすべてのユーザエージェントでアンチエイリアスをかけた状態になるようにするために使われることもある。
利用者が文字画像を自分の好みに合わせてカスタマイズできる場合にも、文字画像を用いてもよい。
文字画像の定義には、「注記: テキスト以外の部分が重要な視覚的コンテンツである場合、画像に含まれるテキストは該当しない。」とある。そのような画像の例として、テキストのみよりも視覚的に重要な情報を伝えるグラフ、スクリーンショット、ダイアグラムが含まれる。
この達成基準を満たすための達成方法は、達成基準 1.4.9 のものと同じである。ただし、その視覚的提示がコンテンツ制作者が用いているウェブコンテンツ技術で実現できる場合に適用する必要があるという点だけが異なる。達成基準 1.4.9 では、利用者が出力をカスタマイズできるときのみ、十分な達成方法が適用される。
達成基準 1.4.9 文字画像 (例外なし) を理解するも参照のこと。
達成基準 1.4.5 の具体的なメリット:
ロービジョンの人 (コンテンツ制作者の指定した書体、サイズ、及び/又は色では、テキストが読みづらいことがある)
視線移動に問題のある人 (コンテンツ制作者の指定した行間及び/又は配置では、テキストが読みづらいことがある)
読字に影響を及ぼす認知障害のある人
達成基準 1.4.5 の事例
スタイルを指定した見出し
ビットマップ画像を用いて特定のフォント及びサイズで見出しを提示するのではなく、コンテンツ制作者は CSS を用いて同じ見栄えにする。
動的に生成された画像
あるウェブページでは、サーバーサイドのスクリプトを用いてテキストを画像として提示している。そのページには、利用者が生成される画像のフォントサイズ及び前景色と背景色を調節することのできるコントロールがある。
引用
あるウェブページに引用が含まれている。その引用部分自体は、イタリックのテキストで、左側をインデントした状態で提示されている。その引用した部分の人名は、引用の下に 1.5 倍の行間を空けて、左側からさらにインデントした状態になっている。CSS は、テキストの書体、サイズ、色及び装飾だけでなく、テキストの配置、行間スペースの指定に使用される。
ナビゲーション
ウェブページは、リンク先を表すアイコンとテキストの両方を持つナビゲーションリンクのメニューを含んでいる。CSSは、ナビゲーションリンク間の間隔だけでなく、テキストの書体、サイズ、前景色及び背景色を表示するために使用される。
文字を含んだロゴ
あるウェブサイトには、各ウェブページの左上のコーナーに組織のロゴがある。そのロゴには、ロゴタイプ (ロゴの一部又は全部がテキスト) がある。テキストの視覚的提示は、そのロゴの特定に不可欠であり、そのテキストの特徴を変更することができない GIF 画像として含まていれる。その画像は、テキストによる代替がある。
書体のサンプル
ウェブページは、特定の書体に関する情報を含んでいる。その書体を他の書体に置き換えると、表現の目的は損なわれるだろう。この表現は、テキストの特徴を変更できないJPEG画像として含まれている。画像は、テキストによる代替を持つ。
手紙の写し
ウェブページは、手紙の原本を描写したものを含んでいる。オリジナルの体裁でその手紙を表現するには、手紙の書かれた時代について伝える情報が不可欠である。手紙は、文字の特徴を変更することができない GIF 画像である。画像は、テキストによる代替を持つ。
記号的な文字
フォームは、利用者がテキストのブロックの入力を可能にする。そのフォームは、テキストのスタイルやスペルチェックなどの機能を含む、多くのボタンを提供している。ボタンの中には、自然言語で何かを表現している順序を整列させていないテキストの文字を用いている。例えば、フォントを太字にするには "B"、テキストをイタリックにするには "I"、そしてスペルチェックをするのには "ABC" である。記号的な文字は、その文字の特徴を変更することができない GIF 画像として含まれている。ボタンは、テキストによる代替を持つ。
文字画像のカスタマイズ可能なフォント設定
あるウェブサイトでは、利用者がフォントを設定できるようになっており、このウェブサイトのすべての文字画像は、その設定に基づいて提供される。
関連リソース
リソースは、情報提供のみを目的としており、推奨を意味するものではない。
達成基準 1.4.5 の達成方法及び失敗例 - 文字画像
この節にある番号付きの各項目は、WCAG ワーキンググループがこの達成基準を満たすのに十分であると判断する達成方法、又は複数の達成方法の組み合わせを表している。しかしながら、必ずしもこれらの達成方法を用いる必要はない。その他の達成方法についての詳細は、WCAG 達成基準の達成方法を理解するの「その他の達成方法」を参照のこと。
十分な達成方法
1.4.5 でさらに対応が望まれる達成方法 (参考)
適合のために必須ではないが、コンテンツをよりアクセシブルにするために、次の追加の達成方法を検討することが望ましい。ただし、すべての状況において、すべての達成方法が使用可能、又は効果的であるとは限らない。
CSS による達成方法
C12: フォントサイズにパーセントを使用する (CSS)
C13: 名前付きフォントサイズを使用する (CSS)
C14: フォントサイズに em 単位を使用する (CSS)
1文字以内でデザインされるテキスト文字を避ける(リンク追加予定)
達成基準 1.4.5 のよくある失敗例
以下に挙げるものは、WCAG ワーキンググループが達成基準 1.4.5 の失敗例とみなした、よくある間違いである。
(今のところ、文書化された失敗例はない)
重要な用語
- テキスト (text)
プログラムによる解釈が可能な文字の並びで、自然言語で何かを表現しているもの。
- 必要不可欠 (essential)
もし取り除いてしまうと、コンテンツの情報あるいは機能を根本的に変えてしまい、かつ、適合する他の方法では情報及び機能を実現できない。
- 文字画像 (image of text)
特定の視覚的効果を得るために非テキスト形式 (例えば画像) でレンダリングされたテキスト。
注記: テキスト以外の部分が重要な視覚的コンテンツである場合、画像に含まれるテキストは該当しない。
事例: 写真に写っている人の名札にある人名。
- 視覚的なカスタマイズ (visually customized)
フォント、サイズ、色、及び背景を設定できること。