音声解説 (収録済) :
達成基準 1.2.5 を理解する
この達成基準の意図
この達成基準の意図は、全盲又は視覚障害のある利用者に、同期したメディアによる提示にある視覚的な情報へのアクセスを提供することである。音声解説は、映像部分が利用できない場合に、必要とされる情報を持つその提示の音声部分を増強する。会話の切れ目の間に、音声解説は、重要かつ主音声では説明又は話されていない、動き、登場人物、シーンの変化、画面上の文字に関する情報を提供する。
注記 1: 達成基準 1.2.3、1.2.5、及び 1.2.7 では、映像トラックにある情報のすべてが音声トラックですでに提供されている場合に、音声解説を必要としない。
注記 2: 達成基準 1.2.3、1.2.5、及び 1.2.8 は、互いにある程度重複する。これは、最低限の適合レベルではコンテンツ制作者に選択肢を与え、より高い適合レベルでは追加の要件を提示するためである。達成基準 1.2.3 のレベル A では、コンテンツ制作者には、音声解説又は完全なテキストによる代替のどちらかを提供するという選択肢がある。レベル AA の適合を望む場合、達成基準 1.2.5 のもとで、コンテンツ制作者は音声解説を提供しなければならない。これは、達成基準 1.2.3 に対して代替を選択する場合に、レベル AA の要件をすでに満たしていることになるが、そうでなければ、音声解説の提供は追加の要件ということになる。達成基準 1.2.8 のもとでのレベル AAA では、コンテンツ制作者は拡張したテキストの説明を提供しなければならない。達成基準 1.2.3 と 1.2.5 の両方が音声解説だけを提供することで要件を満たしていた場合には、これは追加の要件ということになる。しかし、達成基準 1.2.3 をテキストの説明を提供することで満たし、なおかつ達成基準 1.2.5 の音声解説の要件を満たしている場合には、達成基準 1.2.8 は新しい要件を追加することにはならない。
達成基準 1.2.5 の具体的なメリット:
全盲又はロービジョンの利用者、及び認知能力の低下により何が起こっているのかを視覚的に解釈しづらい利用者が、視覚情報の音声解説から恩威を受けられるようになる。
達成基準 1.2.5 の事例
音声解説を提供している映画
音声解説: タイトル「進化のケーススタディの授業 ボニー チェン」くちばしが長くて薄い鳥の写真を、先生が見せている。
ボニー チェン:「これらの写真はすべて、フロリダのエバーグレイド国立公園で撮影されたものです。」
音声解説: 先生が生徒ひとりひとりに二つの平らで薄い木の棒切れを手渡ししています。
ボニー チェン:「今日、皆さんは、こんなくちばしをした、脚の長い鳥になったふりをしてください。」
音声解説: 先生が、二つの棒切れを口にあてて、くちばしの形を作っています。
音声の書き起こしは、「Teaching Evolution Case Stuides, Bonnie Chen」(copyright WGBH and Clear Blue Sky Productions, Inc.) の冒頭の数分間に基づいている。
関連リソース
リソースは、情報提供のみを目的としており、推奨を意味するものではない。
達成基準 1.2.5 の達成方法及び失敗例 - 音声解説 (収録済)
この節にある番号付きの各項目は、WCAG ワーキンググループがこの達成基準を満たすのに十分であると判断する達成方法、又は複数の達成方法の組み合わせを表している。しかしながら、必ずしもこれらの達成方法を用いる必要はない。その他の達成方法についての詳細は、WCAG 達成基準の達成方法を理解するの「その他の達成方法」を参照のこと。
十分な達成方法
G78: 音声解説を含んだ、利用者が選択可能な副音声トラックを提供する、かつ、SL1: Accessing Alternate Audio Tracks in Silverlight Media (Silverlight)
次のどれか一つを用いて、G173: 映像の音声解説付きバージョンを提供する:
SM6: SMIL 1.0 で音声解説を提供する (SMIL)
SM7: SMIL 2.0 で音声解説を提供する (SMIL)
FLASH26: Flash ビデオに音声解説をつける (Flash)
音声及び映像をサポートしているプレーヤーを用いる
次のどれか一つを用いて、G8: 拡張音声解説が付いたムービーを提供する:
SM1: SMIL 1.0 で拡張音声解説を追加する (SMIL)
SM2: SMIL 2.0 で拡張音声解説を追加する (SMIL)
FLASH26: Flash ビデオに音声解説をつける (Flash)
音声及び映像をサポートしているプレーヤーを用いる
1.2.5 でさらに対応が望まれる達成方法 (参考)
適合のために必須ではないが、コンテンツをよりアクセシブルにするために、次の追加の達成方法を検討することが望ましい。ただし、すべての状況において、すべての達成方法が使用可能、又は効果的であるとは限らない。
SMIL 1.0 によって多様な言語の音声解説を提供する (リンク追加予定)
SMIL 2.0 によって多様な言語の音声解説を提供する (リンク追加予定)
ライブの同期したメディアに対して音声解説を提供する (リンク追加予定)
達成基準 1.2.5 のよくある失敗例
以下に挙げるものは、WCAG ワーキンググループが達成基準 1.2.5 の失敗例とみなした、よくある間違いである。
(今のところ、文書化された失敗例はない)
重要な用語
- 収録済 (prerecorded)
ライブではない情報。
- 同期したメディア (synchronized media)
情報を提示するために、他のフォーマットと同期した音声もしくは映像、又は時間に依存するインタラクティブな構成要素と同期した音声又は映像。ただし、そのメディアが メディアによるテキストの代替であって、メディアによる代替であることが明確にラベル付けされているものは除く。
- 映像 (video)
写真や画像を動かしたり、連続して表示したりする技術。
注記: 映像はアニメーション、実写、もしくはその両方で構成され得る。
- 音声解説 (audio description)
主音声のトラックだけでは理解できない重要で視覚的な詳細を説明するために、音声トラックに追加されたナレーション。
注記 1: 映像の音声解説は、動作、登場人物、場面の変化、画面上のテキスト、及びその他の視覚的なコンテンツに関する情報を提供する。
注記 2: 標準的な音声解説では、ナレーションが会話の合間に挿入される。 (拡張音声解説も参照。)
注記 3: 映像情報のすべてが既存の音声ですでに提供されている場合、補足の音声解説は不要である。
注記 4: "video description" や "descriptive narration" とも呼ばれる。
訳注: 日本語では「音声ガイド」とも呼ばれる。